上手な小児科のかかり方

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発熱
嘔吐 下痢
症状を取ること…必要なときと必要ないとき

症状別の対応についてはこちら>>>


1.自然治癒力を信じよう

たいていの感染症は病院にいかないで治る


風邪の症状(熱、のどの痛み、咳、鼻づまり、鼻汁)、胃腸炎の症状(熱、嘔吐、下痢、食欲不振)は、身体が病
気の原因と戦うための免疫反応や排出反応。
ほとんどの症状は生体防御に必要で、医療は自然治癒力を引き出す程度で十分。子どもは病気にかかるのが仕事。
3歳までに免疫をつけるのが自然。先進国の衛生的な環境で育った子どもにはアレルギーが多い。快適なエアコ
ン生活に慣れた子どもは汗をかけなくなってきた。

風邪の症状(熱、のどの痛み、咳、鼻づまり、鼻汁)、胃腸炎の症状(熱、嘔吐、下痢、食欲不振)は、身体が病
気の原因と戦うための免疫反応や排出反応。
風邪のほとんどは治療しなくても治る。症状の役割を知る、病気の自然経過を予測できるようになる、つらそう
な症状に自宅で対応できる、治療が必要な症状の見極めがつく、が皆さんの目標。

感染症をこわがりすぎる世の中になってきた

保育園、幼稚園、学校、学童などの施設は安全の責任を強く求められるようになってきた。以前とくらべて、軽 症の病気でも医療機関の受診と「治癒証明書」が必要な世の中の流れ。

医療では診断技術が進歩して、病気の原因がわかるようになってきた。「かぜ」にいろいろなカタカナの病名がつ く。 「マイコプラズマ感染症(肺炎)」、「ノロウィルス感染症」、「ロタウィルス感染症」、「RSウィルス感染症」 など。
しかし、病名がついて隔離や衛生がマスコミで言われるようになると、診断と治療が施設に求められるようにな ってきた。 しかし、過剰なリスク回避を求めることは、かえって集団生活の制約を作ってしまうことがある。 感染症はおたがいさまの気持ちを持つことも必要。なぜなら、どんなに隔離しても防げない感染があるから。

病気が「治癒」して人に感染させなくなるまでに時間がかかるものが多い。 ノロウィルス、ロタウィルス:下痢が治って1ヶ月近く感染力を残す 2〜3歳までにほぼ100%感染する RSウィルス:2歳までに100%感染する、3〜4歳以降の感染は鼻風邪程度の軽症

過剰な衛生は、アレルギーをおこしやすくする

先進国(とくに日本)では、途上国とくらべて非常に衛生的。
アレルギーは途上国にくらべて、先進国に多い。1〜3歳くらいまでに適度に感染にかかって免疫をつけないと、
免疫が育たない。自分の身体を攻撃するようになる。
花粉症:日本では戦後間もなくは花粉症はほとんどいなかった。いまや国民の40%が花粉症で、乳幼児もめず
らしくない。杉の多い地域より、都会に多い。
保育園児やペットと一緒に生活する乳幼児はアレルギー(喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症)が少ない。


2.受診する症状を見極めよう

  • 治るための症状がかえって病気を悪くするとき
  • 治るための症状が続いても治らないで症状が重くなるとき
  • 悪い病気の症状が出てきたとき

(1)発熱


元気だったら高い熱でも翌日まで待てる。3〜4日続く熱はかぜにはよくある。

<注意する発熱>
生後6ヶ月までの発熱、元気がない、嘔吐を伴う、水分を取らない、意識がおかしい、けいれんがある、とくに ヒブや肺炎球菌ワクチンを接種していない場合、発熱1〜2日は通常緊急性はない


(2)咳

咳は気道の病原体や痰や異物を排泄するための生体防御反応。咳を止めると、排泄が減少して、下気道(気管支 や肺)に炎症が進行することが多い。咳は止めないほうがよい場合がほとんど。喘息も痰の排泄が悪くなること で呼吸困難は悪くなる。
症状を隠すことは病気の進行を見逃す原因となる。

咳を止めない方がよい場合(痰と病原体の排出):喘息、上気道炎、気管支炎、肺炎
咳を止めた方がよい場合:クループ、喉頭蓋炎、百日咳 特徴的な咳で診断

大部分は止める必要のない咳。原因治療をすることで結果的に咳を鎮める。でも呼吸が苦しかったり、咳で眠れないときは、医療機関を受診。
(3)嘔吐

水分は少しずつ何回にわけて補給するのが脱水を防ぐのに必要。頻回少量の水分投与 (5〜10ml、スプーン1~2さじずつ)。
子どもは一度にたくさん欲しがるので、要求に負けないこと!1回大量投与は嘔吐を繰り返させて脱水をひどくするので、止めること。最初の数時間から半日過ぎれば、たいていの 嘔吐は止まる。嘔吐は毒物を出すための防御反応。
でも、嘔吐が胃腸炎以外の重大な病気の症状のことがまれにある。腸重積(嘔吐と血便、3歳までの嘔吐は血便がないか確認する)、髄膜炎などの脳の病気もまれにある。
嘔吐を繰り返したら、医療機関を受診。

(4)下痢

通常の腸炎では下痢は止めないほうがよい。細菌性胃腸炎でもウィルス性胃腸炎でも病原体を排出して改善。 食物は普通食。最近のアメリカでの研究では腸粘膜の再生のためには、早めに食物を与えたほうが再生の刺激に なって、結果的に改善が早まることがわかった。
以前はおかゆからはじめて徐々に普通食にしていたが、今はその必要なし。
食べさせようとする余り、お菓子や甘いものを与えてると、習慣化して食生活を乱す原因になる。食欲がなけれ ば本人の食べる量に合わせた少しづつの補給で十分。強い下痢止めの薬は使うことはない。 
でも脱水(ぐったり、尿が普段の数分の1になる)、細菌性胃腸炎の症状(血便、高熱:ウィルス性でもある)が でたら受診。
感染性胃腸炎では、下痢が止まっても1ヶ月程度便からウィルスが排泄される。感染力がなくなるのを待つと 1ヶ月と登園できなくなるので、登園目安は元気になった時。

(5)症状を取ること…必要なときと必要ないとき

<症状は生体防御に必要なことが多い>


症状を人為的に消失させると、防御が弱まったり病気の進行が隠されることがある。
子どもは自然治癒力を持っている。医療は自然治癒力を引き出すのが役目。
重い病気以外は強い薬はできるだけ使わないほうがよい。

子どもは病気にかかるのが仕事。


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